
こんにちは。犬の幼稚園&トリミング「犬幸村」を運営している中島です。 寒さが本格化する冬になると、飼い主さんから寄せられるご相談の内容が、ある傾向を持って増えてきます。
「最近よく吠えるようになりました」 「甘噛みが前より強くなった気がします」 「落ち着きがなく、家の中をウロウロしています」
こうしたお悩みを聞くたびに、私はまず叱り方やトレーニング方法の話をする前に、必ず確認することがあります。それは「今、そのワンコは十分にエネルギーを使い切れていますか?」という点です。
犬幸村では、吠えや噛みといった行動を「問題」として切り取るのではなく、犬の心と体の状態から原因を見つめ直すことを大切にしています。この考え方は、弊社ワンズアップ株式会社のミッションである「吠える噛むから飼主の挫折を防ぎ、犬の心と体の負担をゼロに。」そのものです。
今回は、冬にこそ知っていただきたい「運動不足と吠え・噛みの関係」、そして犬幸村が現場で重視している“冬のエネルギー循環メニュー”という考え方についてお伝えします。
目次
- 冬に増える「吠え・噛み」の正体
- 運動不足が引き起こす心と体の悪循環
- 社会性不足と発散不足は別物です
- 人間社会への適応力という社会性
- 犬同士のルールは犬からしか学べない
- 冬のエネルギー循環メニューという考え方
- 発散した犬がもたらす飼い主の心の平安
冬に増える「吠え・噛み」の正体
冬になると、どうしても散歩の時間は短くなりがちです。寒さや雪、路面凍結などを考えれば、無理もありません。 しかし犬の体は、季節が変わっても「動きたい」「発散したい」という本能を簡単には手放してくれません。
体力を持て余した犬は、そのエネルギーの出口を自分なりに探します。その結果として現れやすいのが、吠える、噛む、落ち着きがなくなる、破壊するといった行動です。
これは性格が悪くなったわけでも、飼い主さんの育て方が間違っているわけでもありません。
「使い切れなかったエネルギーが、行き場を失って表に出ている」 ただそれだけのことなのです。
運動不足が引き起こす心と体の悪循環
運動不足というと、筋肉や体力の話を想像される方が多いかもしれません。しかし犬にとっての運動は、体だけでなく「心」を整える役割も担っています。
歩く、走る、匂いを嗅ぐ、周囲の状況を判断する。これらはすべて脳を使う行為です。運動量が減るということは、脳への刺激も減っている状態だと考えてください。
刺激が不足すると、犬は些細な音や人の動きに過剰に反応しやすくなります。不安やイライラが溜まりやすくなり、そのはけ口として吠えや噛みが強く出るようになります。 これが、冬に起こりやすい心と体の悪循環です。
社会性不足と発散不足は別物です
ここで多くの飼い主さんが混同しがちなポイントがあります。それが「社会性不足」と「発散不足」です。
たくさん散歩をしていても、他の犬や人と関わる経験がほとんどなければ社会性は育ちません。 逆に、犬同士で会ってはいても、体を十分に使えていなければ発散不足は解消されません。
犬幸村では、この二つを明確に分けて考えます。そして、そのワンコに今足りていないのはどちらなのか、または両方なのかを見極めるところからサポートを始めます。
人間社会への適応力という社会性
今の日本で犬は、人間社会の中で生きていく存在です。 人を極端に怖がってしまう犬も、逆に威嚇してしまう犬も、結果として生きづらさを抱えることになります。
だからこそ犬幸村では、社会性の一つとして「人間社会への適応力」をとても重視しています。 これは服従させることでも、無理に慣らすことでもありません。
人の動き、生活音、距離感を知り、「これは怖いものではない」と理解できる経験を積み重ねていくこと。その積み重ねが、犬の心の安定につながっていきます。
犬同士のルールは犬からしか学べない
一方で、噛み加減や遊び方、距離の取り方といった犬同士のルールは、人間が教えることはなかなか難しい課題です。
これらは本来、犬社会の中で自然に学ぶものだからです。
現代ではその犬社会がほとんど存在しません。だからこそ、幼い頃から先輩犬と関わる経験がとても重要になります。 犬同士が遊びながら学べる安全な環境を整え、必要なときだけ人が介入する。それが犬の心の成長を妨げない最善の方法だと、私は考えています。
冬のエネルギー循環メニューという考え方
冬は「長時間の散歩」を無理に目指す必要はありません。大切なのは、短時間でもエネルギーをきちんと使い切れるかどうかです。
頭と体を同時に使う動き、環境を変えた刺激、適切な犬同士の交流。こうした経験が組み合わさることで、体の中にエネルギーの循環が生まれます。
疲れ切るまで動かすのではなく、「ちょうどよく使い切る」。 この感覚を持つことで、冬でも犬は自然と落ち着きを取り戻していきます。
発散した犬がもたらす飼い主の心の平安
十分に発散し、社会性を学んだ犬は、家に帰ると驚くほど穏やかな表情を見せてくれます。 その姿を見たとき、飼い主さんの表情がふっと緩む瞬間を、私は何度も見てきました。
犬が落ち着くことで、飼い主さんの心にも余裕が生まれます。 吠えや噛みで悩み続ける日々から解放され、「この子と一緒に暮らしていて良かった」と心から感じられるようになります。
それこそが、犬幸村が大切にしている「飼い主の心の平安」です。 冬の今だからこそ、吠え・噛みの奥にある犬からのサインに、少しだけ目を向けてみてはいかがでしょうか。
