散歩が減る季節、愛犬の「発散」と「社会性」をどう守る?

家でできる遊びと、怖がりな子への小さな一歩

寒さや雨、雪で外に出にくくなると、愛犬との過ごし方に悩むことがあります。

そんなとき、叱り方を考える前に見直したいのが、「楽しく発散できているか」と「安心できる経験があるか」の二つです。

今回は、室内でできる遊びと、怖がりな子が無理なく世界を広げるための工夫をご紹介します。

目次

元気な子と、静かな子。
必要な関わりは違います

犬幸村では、その子に合う関わり方を考える目安として、「エネルギー(活動性)」と「社会性」の二つの軸で、四つのタイプを説明しています。ここでいう社会性は、人・犬・環境に慣れ、安心して関われる度合いです。

A:元気だけれど外では緊張しやすい

A:室内でクッションをかじり、中綿が散らばる犬。行動の一例。

遊びたい気持ちはたっぷり。安心できる環境で発散する工夫を。

B:元気で関わりを楽しめる

B:相性の合う犬と遊びを楽しむ犬。

人や犬との遊びが好き。遊ぶ時間と休む時間を大切に。

C:静かに見えても怖がり・慎重

C:近づく人に怖さを感じ、身を引きながら吠える犬。行動の一例。

無理をさせず、安心できる人や場所を少しずつ増やす。

D:関わりに慣れ落ち着いて過ごせる

D:人や犬のそばでゆったり落ち着いている犬。

その子のペースを尊重し、楽しい関わりを続ける。

犬幸村が関わり方を説明するための目安です。科学的な診断分類や、良い犬・悪い犬の区分ではありません。場所・相手・体調によっても様子は変わります。

上下はエネルギー、左右は社会性

上段のA・Bは、エネルギーが高いタイプ。若い子や活発な子も多く、十分に遊び、発散する機会が必要です。

下段のC・Dは、比較的穏やかで落ち着いているタイプ。年齢とともに活動量が減ることもありますが、個体差があり、年齢だけでタイプは決まりません。

左側のA・Cは、社会性が十分に育っていない状態。右側のB・Dは、経験を通じて社会性が育っている状態。左側は慣れない人・犬・場所に不安や警戒を感じやすい傾向があります。右側は、幼い頃からの安心できる経験などを通じて、人や犬、環境との関わりを学んできた子です。生まれ持った気質や経験の質にも左右され、飼い主さんの育て方だけで決まるものではありません。成犬になってからも、その子のペースで安心できる経験を積んでいけます。

A・Cは、困りごとにつながる前にサポートを

例えばAでは、外への不安から活動が減り、余ったエネルギーが家で物を壊す行動につながることがあります。Cでは、静かに見えても怖さが強く、慣れない人に吠えたり、身を守ろうとして噛もうとしたりすることがあります。

これは必ず起こることではなく、行動の原因も一つではありません。犬も飼い主さんもつらくなる前に、その子に合う発散と、無理のない小さな経験を重ね、安心できる範囲を広げていきましょう。

特にA・Bのような元気な子には、エネルギーの使い道が必要です。遊ぶ機会が減ると、家での物かじりや落ち着かなさにつながることがあります。

犬幸村でも、外で遊んで家では落ち着いていた子が、活動の減少とともに、家で持て余すようになるケースを見てきました。

ただし、吠える・噛む理由は発散不足だけとは限りません。不安や怖さ、体調なども含めて考えることが大切です。

外に出にくい日は、
家族が遊び相手に

年齢や体力、相性の合う犬同士の遊びは、発散とともに、お互いの接し方を学ぶ機会になります。

でも、近くに犬の友達がいない、天候のため外で遊べないという日もあるでしょう。そんなときは、飼い主さんや家族が遊び相手になってあげてください。

忙しい日には、まず10分ほど、一緒に楽しむ時間をつくるところから。家族で交代したり、短い遊びを何回かに分けたりしても構いません。

「10分で運動は十分」という意味ではありません。必要な活動量は、年齢・体力・体調によって異なります。

匂いを嗅いでおやつを探す遊び

① 匂いを嗅いで探す

少量のおやつを見つけやすい場所に置き、鼻を使って探してもらいます。知育玩具も、最初は簡単なものから。「見つかった!」を楽しめる難しさにしましょう。

おやつは一日の食事量に含めて調整します。

おもちゃを探す遊び

② おもちゃを探す

お気に入りのおもちゃを近くに置いて探すことから始めます。見つけた後に一緒に遊べば、飼い主さんとの楽しい時間にもつながります。

おもちゃで引っ張り合う遊び

③ ボール遊びや引っ張り合い

短い距離でボールを転がしたり、おもちゃを使って引っ張り合ったり。その子の好きな遊びを選びます。強く振り回す、犬の体を持ち上げるといった遊び方は避けましょう。

遊ぶ前に、安全をひと確認。
床の滑りや障害物、おもちゃの大きさや傷みを確認します。誤飲を防ぐため、遊んでいる間は目を離さないことが大切です。

犬幸村が開発した遊びの道具

「あまがみくん」という工夫も

手に持ったあまがみくんを見つめる犬

「あまがみくん」は、甘噛みやじゃれ合いをしたい子と、飼い主さんが遊ぶために考えた道具です。パペットや軍手に装着し、手の動きを犬の遊び相手に見立てて使います。

ただ叱って止めるのではなく、遊びたい気持ちを受け止め、一緒に楽しむ時間をつくる。それが開発の背景にある考え方です。

素手を直接噛ませる遊びではありません。使い方や注意点を確認し、その子に合わせて取り入れてください。怖さや痛みから噛む場合は対応が異なるため、無理に遊ばせずご相談ください。

犬幸村の動画を見る(48秒)子犬の甘噛みを止めさせるなんてもったいない! ~犬たちの遊びがヒント~の公式動画サムネイルあまがみくんの商品案内・使い方を見る →

「疲れ切るまで」ではなく、
遊びと休息をセットに

たくさん運動させれば、必ず落ち着くわけではありません。遊びで興奮が高まり続けることもあります。途中に休憩を入れ、その日の様子に合わせて切り上げましょう。

口を開けてハアハアしている姿が笑顔に見えても、それだけで「楽しい」「十分に遊べた」とは判断できません。暑さや緊張などでも起こります。

動きが鈍くなる、離れようとする、呼吸が荒くなるなどの変化があれば、遊びを止めて休ませます。呼吸が苦しそうなときや、休んでも戻らないときは動物病院へ相談してください。

目指したいのは、楽しく遊び、安心して休める暮らしです。

静かな子にも、
外の世界に慣れる機会を

Cのような怖がりな子は、家で静かに過ごしているため、困りごとが見えにくいことがあります。

でも、飼い主さんの急な事情や旅行、犬自身の通院・入院など、家族以外の人に任せなければならない場面はあります。そのとき、慣れない人や場所への怖さから、自分を守ろうとして噛むなどの行動が出る子もいます。

「家では困っていない」で終わらせず、いざというときに本人がつらい思いをしないための準備を、少しずつしておきたいですね。

最初は「跳び箱1段目」から

怖がる子を、いきなり犬がたくさんいるドッグランに放す。それは、初めて跳び箱に挑戦する人に、いきなり10段を跳んでもらうようなものです。

離れた場所から見る、安心できる経験を重ねる、様子を見て関わる。各場面に跳び箱1・2・3段の比喩を添えた図。怖がれば距離を戻す。

段階は説明の一例です。進む速さを決めず、怖がれば距離を戻します。

近づいたり、一緒に遊んだりすることを、最初から求めなくてもよいのです。無理に触れ合わせず、「ここなら大丈夫」という経験を少しずつ重ねていきましょう。

大切にしているのは、
「社会性を育てる時間」です

お座りや待てを覚えることも大切ですが、犬幸村の幼稚園が特に力を入れているのは、人や犬と安心して過ごすための社会性です。

最初から大勢の犬の中へ入れることはしません。スタッフが体力・性格・相性を見て部屋やグループを分け、安全に配慮しながら遊びや触れ合いを見守ります。

その子のペースで慣れてきたら、関われる相手や場面を少しずつ広げます。犬同士のやり取りを通じて、距離感や遊び方を学ぶ機会をつくります。

さらに、スタッフとの関わりや店内を歩く経験を通じて、人や周囲の環境にも無理なく慣れるお手伝いをしています。

全員と遊ぶことを、一律のゴールにはしません。
その子が安心して過ごせる場面を増やすこと。それを大切にしています。

小さな困りごとのうちに、
ご相談ください

「そのうち直るかな」と我慢しているうちに、飼い主さん自身がつらくなってしまうこともあります。

特に子犬は短期間で成長し、日々の経験を重ねていきます。「吠え方が強くなった」「触ると嫌がる」「どう遊べばいいか分からない」。そんな小さな疑問の段階から相談してください。

大人になった犬も「もう遅い」と諦める必要はありません。経験や今の状態に合わせて、一緒に取り組み方を考えます。急な行動の変化や痛みが疑われる場合は、動物病院への相談も大切です。

犬幸村のミッション吠える・噛むから飼い主の挫折を防ぎ、
犬の心と体の負担をゼロに。

一人で抱え込まず、愛犬が安心して暮らせる小さな一歩を、一緒に見つけていきましょう。

関連動画:BS11で紹介された「あまがみくん」

BS11公式「耳より!Bizトレンド」2025年5月9日放送分。配信期限:2027年5月8日(動画説明欄による)。

BS11公式動画を見る(4分30秒)【BS11】耳より!Bizトレンド「愛犬家注目のアイテム『あまがみくん』」の公式動画サムネイル

中島秀輔
ワンズアップ株式会社 代表取締役
犬の幼稚園&トリミング「犬幸村」 代表 中島秀輔

犬の幼稚園「犬幸村」園長 中島秀輔 1986年から約26年間、ペット関連の事業を行う。



横浜そごう、玉川高島屋、グランベリーモール、六本木ヒルズなど、首都圏の百貨店等に店舗を出店しているDOG&CAT JOKERにおいてトリマー兼店長兼店舗統括部長として店舗運営に携わる。



2000年に「ワンニャン幼稚園🄬」設立。業界初の子犬子猫にしつけを教えて販売するスタイルを発案し、JOKER各店にて子犬子猫生体販売の常識を変革する。



トリマーとして各種競技会に挑戦し、SUPER ZOO inラスベガス スーパーモデルドッグ部門3位入賞、JKCトリミング競技会東京ブロック Aクラス最優秀賞受賞。その後全国トリミング・家庭犬訓練競技会 デザインカットコンテスト、ジャペルペットコレクショントリミングコンテストにおいて審査員を務める。

ハンドラーとしてJKCハンドリング競技会全国大会Aクラス最優秀賞受賞。



これらの経験・知識を活かし独立。その後大小200を超えるセミナーも開催し、延べ3,000人以上のトリマーへの指導経験も持つ。



現在は、新潟の燕三条で犬の幼稚園&トリミング犬幸村(けんこうむら)をオープンさせ、延べ1000頭以上のワンちゃんや猫ちゃんへ、飼い主様へ「心の平安」を提供している。

保有資格: ・JKCハンドラーA級ライセンス ・JKCトリマーA級ライセンス ・愛玩動物飼養管理士1級

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!