雪・風・音への敏感さをやわらげる“冬の慣らしトレーニング”

目次

雪・風・音に敏感になる冬。ご愛犬の不安は「性格」ではありません

冬になると、
「雪の日は外に出たがらない」
「風の音にビクッとして動かなくなる」
「暖房や除雪車の音で吠えるようになった」

このようなご相談が一気に増えてきます。
情報が溢れる今、「怖がりな性格だから仕方ない」「無理に慣らすと可哀想」と感じている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

ですが私は、長年現場で多くのワンコたちと向き合う中で、冬特有の環境刺激への敏感さは“性格”ではなく“経験不足”が原因であることがほとんどだと感じています。

これは叱って直すものでも、我慢させるものでもありません。
正しい順序で、やさしく慣らしてあげることで、犬の心と体の負担は確実に減らすことができます。

なぜ冬は、犬が不安を感じやすくなるのか

冬は人にとっても環境の変化が大きい季節ですが、ワンコにとっては想像以上です。

  • 雪が地面を覆い、足裏の感覚が変わる
  • 冷たい風が顔や耳に直接当たる
  • 除雪車・暖房・強風など、普段聞かない音が増える
  • 散歩時間や運動量が減り、発散不足になりやすい

これらが重なることで、犬は「予測できない世界」に放り込まれた状態になります。
不安や恐怖は、突然生まれるものではなく、理解できない刺激が積み重なった結果として表に出てくるのです。

外部データが示す「慣らし」と恐怖反応の関係

海外の獣医行動学の研究では、犬の恐怖反応や問題行動の多くが、
「社会化不足」と「環境刺激への未経験」によって増幅されることが報告されています。

特に有名なのが、アメリカ獣医行動学会(AVSAB)の声明で、
「幼少期および成長期における段階的な環境慣化は、成犬期の不安行動を大きく減少させる」
と明確に示されています。

つまり冬に見られる不安行動は、
「怖がりになった」のではなく、
「慣れる経験が足りていない」という状態なのです。

社会性とは「犬同士」だけではありません

社会性という言葉を聞くと、
「他の犬と仲良くできるかどうか」
そう思われる方が多いかもしれません。

ですが私が考える社会性とは、人間社会で安心して生きていく力です。

  • 雪道を落ち着いて歩ける
  • 風の音がしてもパニックにならない
  • 突然の物音がしても立て直せる
  • 人や環境を過剰に怖がらない

これらはすべて、「慣らし」と「成功体験」の積み重ねで身につきます。
そしてこの力が育ったワンコほど、家に帰った時の落ち着きがまるで違います。

その変化こそが、私たちが大切にしている
「犬と暮らす飼主へ“心の平安”を提供する」
という価値そのものです。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

冬の慣らしトレーニングで大切な3つの考え方

① 小さな刺激から始める

いきなり雪道を長く歩かせたり、強風の中へ連れ出す必要はありません。

  • 玄関先で雪を踏ませてみる
  • 風の音が聞こえる場所で数分立ち止まる
  • 遠くで鳴る音を「聞くだけ」にする

「何も起きなかった」という経験が、犬にとって最大の安心材料になります。

② 発散を先に満たす

恐怖心が強い子ほど、実はエネルギーが余っているケースが少なくありません。
発散不足の状態では、刺激に対して過敏に反応しやすくなります。

  • 室内での遊び
  • 安全な環境での犬同士の交流
  • 頭を使う遊び

しっかり発散できたワンコは、同じ刺激でも驚き方がまるで違ってきます。

③ 飼い主さんが落ち着いていること

犬は、人の感情をとても敏感に読み取ります。
「大丈夫かな…」という不安は、言葉以上に伝わってしまいます。

静かに、淡々と、
「特別なことは起きていない」
という空気を作ってあげることが、何よりのサポートになります。

慣らしが進んだ先にある、飼い主の心の変化

冬の慣らしトレーニングが進むと、変わるのはワンコだけではありません。

  • 散歩が苦痛ではなくなる
  • 吠えやパニックへの不安が減る
  • 「この子となら大丈夫」と思えるようになる

恐怖心を減らすことは、犬を甘やかすことではありません。
無理をさせないことは、逃げることでもありません。

正しく慣らすことは、犬の未来を守る行為だと、私は現場で確信しています。

情報に迷う飼い主さんへ、私が伝えたいこと

ネットや動画には、さまざまな意見があります。
だからこそ、迷ってしまうのは当然です。

私がお伝えしたいのは、
「信じる情報を一つに絞ってください」ということではありません。

犬の心と体の負担が減っているか
飼い主さんの不安が減っているか

この二つを基準に、選択してみてください。

冬は、社会性を育てるチャンスでもあります。
静かな慣らしの積み重ねが、春の穏やかな毎日につながっていきます。

犬と楽しむ飼主さんが、もっと増えていくことを願って。
私たちは、これからも現場から伝え続けます。

中島秀輔
ワンズアップ株式会社 代表取締役
犬の幼稚園&トリミング「犬幸村」 代表 中島秀輔

犬の幼稚園「犬幸村」園長 中島秀輔 1986年から約26年間、ペット関連の事業を行う。



横浜そごう、玉川高島屋、グランベリーモール、六本木ヒルズなど、首都圏の百貨店等に店舗を出店しているDOG&CAT JOKERにおいてトリマー兼店長兼店舗統括部長として店舗運営に携わる。



2000年に「ワンニャン幼稚園🄬」設立。業界初の子犬子猫にしつけを教えて販売するスタイルを発案し、JOKER各店にて子犬子猫生体販売の常識を変革する。



トリマーとして各種競技会に挑戦し、SUPER ZOO inラスベガス スーパーモデルドッグ部門3位入賞、JKCトリミング競技会東京ブロック Aクラス最優秀賞受賞。その後全国トリミング・家庭犬訓練競技会 デザインカットコンテスト、ジャペルペットコレクショントリミングコンテストにおいて審査員を務める。

ハンドラーとしてJKCハンドリング競技会全国大会Aクラス最優秀賞受賞。



これらの経験・知識を活かし独立。その後大小200を超えるセミナーも開催し、延べ3,000人以上のトリマーへの指導経験も持つ。



現在は、新潟の燕三条で犬の幼稚園&トリミング犬幸村(けんこうむら)をオープンさせ、延べ1000頭以上のワンちゃんや猫ちゃんへ、飼い主様へ「心の平安」を提供している。

保有資格: ・JKCハンドラーA級ライセンス ・JKCトリマーA級ライセンス ・愛玩動物飼養管理士1級

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