
子犬をお迎えした際、なるべく早く教えてあげたいのがトイレのしつけです。トイレのしつけは概ね生後5か月以内だときちんと覚えてくれる子が多いです。上手にしてくれると飼い主側も安心ですよね。
そこで30年以上プロのハンドラー/トリマーとしてペット業界で活躍し、現在は新潟で犬の幼稚園&トリミング犬幸村(けんこうむら)を経営し、日々飼主さんのお悩みにお答えしている私、中島が子犬のトイレのしつけについてお伝えします。
■目次
まとめ┃子犬にトイレのしつけをするためのコツと〇つのポイント
子犬にトイレのしつけをする際に、覚えておきたい5つのこと
子犬のしつけをする際に、いくつか覚えておいていただきたい5つの手順がこちらです。
以下で、どのような背景があり、この5点を覚えておいていただきたいかを解説いたします。
子犬のトイレのしつけの手順①┃子犬のトイレは回数(教える機会)が多い5か月までが特に重要
まずは、基本的な犬の習性を解説します。
子犬が生後1か月くらいの頃までは母親が舐めた刺激でオシッコやウンチをしています。
その後、だんだん離乳し始めると同時に母親から舐められる回数も減り、自分でオシッコやウンチをするようになります。このときに母親を真似てトイレを覚えるのが基本的な犬の習性です。
一方で、人と暮らす場合はこの環境が大きく変わることになります。母犬から離れ、飼主の元に来るまでの期間、環境もトイレも様々変わりあちこちでトイレをしてしまうのが現状です。
そこで飼主の元に来てからすぐのタイミングがトイレトレーニングには重要な時間になります。そしてトイレのしつけは、タイミングを逃さないことが重要です。
このトイレの回数の多い期間は、一般的に生後5か月くらいとされています。この期間に集中して教えてあげることができれば、ほぼほぼ問題なく覚えてくれます。
もちろん生後5か月過ぎでもトイレトレーニングは可能です。しかし、だんだんとトイレに行く回数が減ってきますので、犬がトイレに行くタイミングを逃さない飼主の根気が必要になります。
子犬のトイレのしつけ手順②┃何かの後がトイレチャンス!
犬の年齢が幼いほどトイレの我慢はできません。今まで遊んでいたのにフッと気を許した瞬間にしゃがんで粗相してしまいます。このように気を許した瞬間が続くとなかなかトイレを覚えさせることが難しくなっていきます。
そこで知っておいてほしいこととして、子犬は寝て起きた後、ご飯食べた後、遊んだ後(遊んでいる途中もあり)のように、何かの後にトイレをしやすい習性があるということです。
つまりそのチャンスを活かしトイレトレーニングを進めると教えやすくなるのです。
この後のトイレのしつけ手順③では、具体的にクレートを活用し、子犬が寝て起きた後にサークルに導きトイレをさせるトレーニング方法をお伝えします。
子犬のトイレのしつけ手順③┃安心と解放でトイレを促す

犬は安心できる場所、外敵から身を守りやすい場所として、囲まれた狭い場所に身を隠す習性があります。これは子犬も同様で、普段は広い場所に居ても、休むときは隅っこにいきます。そして休んだ後に寝る場所から少し離れたところでトイレをします。
この習性を活かしたクレートを使ったトイレトレーニングは以下のような流れになります。
準備1:安心して休めるクレート(持ち運びできる広過ぎないハードタイプがお薦め)を用意
準備2:少し解放された感覚になれるサークル(全面にトイレシーツを敷き詰める)を利用
ポイント1:サークル内でトイレするタイミングで「ワンツーワンツー」など掛け声で教えていく
ポイント2:トイレ出来たらたっぷり褒めてあげて遊んであげる
ポイント3:次が油断しがちですが、ある程度遊んだらトイレを失敗する前に再びクレートに戻し休ませる
※このように集中して繰り返すことがトイレトレーニングのコツになります。
子犬のトイレのしつけ手順④┃犬の習性を理解し、失敗させない工夫
トイレがなかなかうまく教えられないというご家庭には、共通するパターンがあります。それは普段サークルの中にトイレと寝る場所が一緒になっているという点です。このケースでは、飼主が仕事から帰ってきたらサークルから出してあげると喜んで走り回り、子犬は解放感からあちこちで粗相してしまうということが頻発します。
このように、子犬には今までの場所からの解放感でトイレをする習性があるため、サークルより広い場所に出た時の解放感で粗相してしまうのです。
留守の時間※にもよりますが、トイレを教えるのであれば寝る場所はサークルより少し狭いクレート内で休ませることをお薦めします。
※子犬のクレート待機時間の目安として、生後3か月くらいなら1~2時間、生後4か月くらいなら2時間、生後5か月くらいなら2~3時間くらいが目安です。この目安を守ってあげることで、トイレの失敗が軽減します。
➡クレート待機前にたっぷり遊んであげることも重要です。特に子犬時期は噛んでじゃれ合う甘噛み遊びを好みます。遊び相手の犬がいない場合、飼主が甘噛み遊びの相手となってたっぷり遊んであげましょう。
*やんちゃなポメラニアン4か月の男の子、甘噛み対策グッズ「あまがみくん」でたっぷり遊んであげる動画をご覧ください。
子犬のトイレのしつけ手順⑤┃ウンチを促す裏技
オシッコの回数に比べるとウンチは回数が少なく、またオシッコと別の場所でトイレをしがちです。そこで同じサークル内のシーツの上でウンチも習慣化させる裏技を紹介します。その裏技とはこちら。

▪綿棒を半分に切り、丸い先端部を少し湿らせ肛門に挿入する
▪挿入したままサークル内で待機。肛門がもぞもぞする感覚でウンチを促す
▪ウンチが出そうなタイミングで「ワンツーワンツー」など掛け声を教える
▪たっぷり褒めてあげサークルから解放して遊ばせる
*綿棒の先の部分はウンチと一緒に出てくるのでご安心ください。
子犬のトイレに関するよくあるご質問と解決方法の例
トイレのしつけに関するお悩みは多く、私が経営する犬の幼稚園でもお悩みとしてご相談をいただく質問です。
犬のトイレのしつけFAQ┃トイレのしつけに必要な期間はどれくらい?またしつけをするためのコツとポイントは?
犬のトイレのしつけFAQ┃教えても上手にトイレができない犬へは、どうしつければいい?
といったものがあります。 以下で、詳しく解説いたします。
子犬のトイレのしつけFAQ┃トイレからはみ出してしまう
まずこの状態は、子犬にすれば「トイレシーツに足が掛かっているからちゃんとトイレしているつもり…。」だと思います。
従ってここで叱ってしまうと全然違うところでトイレしてしまうなど、逆効果になるので注意してください。ではどうするのか?ですが、3パターンの対策をお伝えするのでお試しください。
①こういうタイプの子はシーツを広げてもやはりシーツの端っこでしてしまうので、どうしても床を汚されたくなければ部屋全体にビニールシートかペットシーツをたくさん敷きまくることがお薦めです。
②シーツを敷いたサークル内でトイレさせることではみだしを防止する。
③マーキングに似た行動の場合、シーツの真ん中にポールや人工芝などオシッコを掛けたくなる仕掛けを置いてあげる。
このような対策をしてあげることで、トイレからのはみ出しを防ぐことができるケースがありますので、ぜひお試しください。
子犬のトイレのしつけFAQ┃トイレシートを破ってしまう
この行為も子犬あるあるです。これは、ずばり犬が暇なときにやる行為です。特に子犬は目に入ったものに興味が行きますから、ある程度は仕方ない行為だと思います。とはいえ何とか止めたいのであればこのような対策をお薦めします。
①トイレシート以上の夢中になれる何か(知育玩具やオヤツなど)を与える →オヤツを入れたコング(市販の犬用のオモチャの名称)などがお薦め *コングの使い方はこちらの動画をご覧ください↓
②子犬の時期にしかしない、とにかく遊びたい欲求であり、純真な子ども心なんです。本来なら犬社会で兄弟や同い年くらいの犬たちで1日中遊んで発散や学習をしているのです。それを止めさせておとなしくさせようというのは少しかわいそうだと思いませんか?また子犬と遊べる貴重な時期なのに、止めさせるなんてもったいない事言わず、1日10分でも良いので集中してたっぷり遊んであげることをお薦めします 。犬の年齢はあっという間に過ぎ去って行きます。そして旅立つときに「もっと遊んであげれば良かったな…」などと、あとで後悔してほしくないと思うからです。
→甘噛み対策グッズ「あまがみくん」で、飼い主の手を犬に変身させ、犬遊びでたっぷり遊んであげましょう! 参考動画はこちらです↓
犬のトイレのしつけFAQ┃トイレで寝るのを止めさせたい
トイレで寝てしまう子いますよね…汚れてなければまだましなのでしょうが、それでも、気持ち的に嫌ですよね。けして悪気がある訳ではないですが、子犬にとってトイレが他の場所より居心地良くなっていることが原因だと思われます。
まずは寝る場所(ベッドなど)の居心地を確認しましょう。例えば暑いもしくは寒い、または障害物や匂いなどが原因で安心できない場所になっていないか? といったことをまずは確認してあげてください。
犬が安心して眠る場所としてお薦めなのはクレートです。どこへ行っても安心できる場所としてクレートをトイレと同時に教えてあげることもお薦めします。万一の時(災害や急病など)に備え、普段からクレートに入れれば移動やお預けが楽になり、寝る場所の問題も解決することができるでしょう。
犬のトイレのしつけFAQ┃トイレのしつけに必要な期間はどれくらい?またしつけをするためのコツとポイントは?
犬が若い年齢であるほど覚える速度は早いです。集中すれば3日ほど、遅い子でも1週間程度で覚えます。
特に幼齢期の子犬(生後5か月くらいまで)は、トイレの回数が多いため成功も失敗も機会が多くあります。そこで、当店ではなるべく早く3日間のトイレ集中トレーニングを推奨しています。やり方は以下の流れになるので参考にしてみてください。
①寝る場所はクレート
②クレートからトイレシーツの敷き詰められたサークルに開放
③開放された時にトイレをしやすい習性を利用しトレーニング。
※トイレする瞬間に「ワンツーワンツー」など掛け声を教えてあげると今後に向けて効果的。
④トイレに成功した瞬間たっぷり褒め、すぐにサークルの外に出して遊ばせてあげる。
⑤遊んでいる途中でトイレに失敗する前に①に戻って繰り返す。
※この流れを一度も失敗させずに3日間続けられれば、その後も習慣化しやすいです。
※トイレトレーニングでどうしても昼が教えられない…または夜ができない…などとお悩みの方向けに、当店ではトイレトレーニング3日間合宿コースもご案内しています。詳しくはスタッフまでお問い合わせください。
※トイレトレーニングの一連の流れはこちらの動画でお伝えしているのでご覧ください↓
犬のトイレのしつけFAQ┃教えても上手にトイレができない犬へは、どうしつければいい?
これは犬の年齢と飼主の関り方によってかなり大きく違いが出ます。若い年齢(できれば生後5か月くらいまで)ならば比較的トイレの回数が多いので修正がしやすいですが、年齢が行くほど習慣化が進み修正が難しくなります。
そこで飼主が根気よく教えることができる、できないかがトイレのしつけの成功の分かれ目となります。
何としてでもトイレを覚えさせたいと思うのであれば、少しでも早いタイミングから集中して教えてあげましょう。逆に諦めるのであれば、その中でも最善の方法を見つけ、飼主も犬も嫌な思いにならないよう工夫してあげることが大切です。
例えば本来の犬の習性から考えれば 、だんだん寝場所の近くではトイレをしたがらなくなっていくのが普通です。生後1か月くらいまでは母犬にぺろぺろ舐められながらトイレをしていた時期(人のオネショをしてしまう年齢の頃)でしたが、それが生後5か月くらいになるとだんだん我慢できるように変わっていくのです。ですのでこの年齢の頃までに室内トイレを固定できないようならば、外でのトイレをお薦めします。
■執筆者

■犬の幼稚園&トリミング「犬幸村」 代表 中島秀輔
犬の幼稚園「犬幸村」園長 中島秀輔 1986年から約26年間、ペット関連の事業を行う。
横浜そごう、玉川高島屋、グランベリーモール、六本木ヒルズなど、首都圏における意識高い客層が集まる店舗を出店していたDOG&CAT JOKERにおいてトリマー兼店長兼店舗統括部長として店舗運営に携わる。
2000年に「ワンニャン幼稚園🄬」設立。業界初の子犬子猫にしつけを教えて販売するスタイルを発案し、JOKER各店にて子犬子猫生体販売の常識を変革する。
トリマーとして各種競技会に挑戦し、SUPER ZOO inラスベガス スーパーモデルドッグ部門3位入賞、JKCトリミング競技会東京ブロック Aクラス最優秀賞受賞。その後全国トリミング・家庭犬訓練競技会 デザインカットコンテスト、ジャペルペットコレクショントリミングコンテストにおいて審査員を務める。
ハンドラーとしてJKCハンドリング競技会全国大会Aクラス最優秀賞受賞。
これらの経験・知識を活かし独立。その後大小200を超えるセミナーも開催し、延べ3,000人以上のトリマーへの指導経験も持つ。
現在は、新潟の燕三条で犬の幼稚園&トリミング犬幸村(けんこうむら)をオープンさせ、延べ1000頭以上のワンちゃんや猫ちゃんへ、飼い主様へ「心の平安」をお届けしてしている。
保有資格:JKCハンドラーA級ライセンス ・JKCトリマーA級ライセンス ・愛玩動物飼養管理士1級