以前にスエーデン在住の日本人女性から「日本の犬は怖がりな子が多いよね…」と、吠える噛むなど問題行動の原因がこの恐怖心からだと言われたことがありました。多くの場合が子犬の幼ない頃の環境も起因していると考えられますが、飼い主自身も子犬の社会性育成についてもう少し意識される必要があると思います。この日本においては我々のような犬好き人口は少数派であり、逆に犬に興味ない、犬が苦手な人の割合の方が高いのです。ですので我々自身が多くの人たちにも羨ましがられるようなドッグライフを魅せれるよう、共に行動できたら嬉しく思っております。

目次
- 犬が苦手な犬の特長とは?
- 犬が苦手な犬、そうなってしまう理由とは?
- 愛犬が、他の犬に吠えたり唸ってしまう場合の対処法は?
- 愛犬が、他の犬から逃げ回ってしまう場合の対処法は?
- 愛犬を、犬嫌いにさせない方法とは?
- 愛犬の犬嫌いを克服させる具体的な方法とは?
- 人が苦手な犬の特長とは?
- 人が苦手な犬、そうなってしまう理由とは?
- 愛犬が、家族以外に吠えたり唸ってしまう場合の対処法は?
- 愛犬が、家族以外の人から逃げ回ってしまう場合の対処法は?
- 愛犬を、人嫌いにさせない方法とは?
- 愛犬の人嫌いを克服させる具体的な方法とは?
- まとめ┃犬が苦手な犬、人が苦手な犬は、克服させてあげることはできる?
犬が苦手な犬の特長とは?
「うちの子、他のワンコを見るといつも吠えちゃうのよ…」「公園で他の犬が近づいてくると、震えだして固まっちゃうの」
飼い主さんから、こんなお悩みをよく耳にします。私も長年この業界に身を置いていますが、犬が他の犬を苦手とするケースは本当に多いと感じています。では、具体的にどんなサインが見られるのでしょうか?
まず、吠えたり唸ったりするケース。これは比較的わかりやすいですよね。他の犬が視界に入った途端、興奮して吠え続ける、唸って威嚇する、中には飛びかかろうとする子もいます。これは「あっちへ行け!」という明確な意思表示です。
次に、逃げ回ったり、隠れたりするケース。リードを引っ張って飼い主さんの後ろに隠れようとしたり、道の端に寄って目を合わせないようにしたり。震えが止まらなくなったり、おしっこを漏らしてしまう子もいます。これは「怖い、近づかないで」という恐怖心の表れです。
他にも、固まって動かなくなる、あくびを連発する、口元を舐めるといったサインを見せる子もいます。これらは「カーミングシグナル」と呼ばれる、犬がストレスを感じた時に見せる行動です。私たち人間が緊張した時に生唾を飲み込んだり、貧乏ゆすりをしたりするのと同じですね。愛犬がこれらのサインを見せたら、「もしかして苦手なのかな?」と考えてあげてください。
ワンコも私たち人間と同じで、それぞれ個性があります。社交的な子もいれば、引っ込み思案な子もいます。大切なのは、飼い主さんが愛犬のSOSサインに気づいてあげることだと私は強く感じています。
犬が苦手な犬、そうなってしまう理由とは?
では、なぜ愛犬は他の犬を苦手になってしまうのでしょうか?これまで多くのワンコとその飼い主さんを見てきた私の経験から、主な理由をいくつかご紹介しましょう。
最も多いのは、子犬期の社会化不足です。生後3週齢から12週齢くらいまでの「社会化期」と呼ばれる期間は、子犬にとって様々な経験を吸収する大切な時期です。この時期に他の犬や人、様々な音や環境に触れる機会が少なかったり、逆に怖い思いをしてしまうと、それがトラウマとなってしまい、大人になっても他の犬を苦手にしてしまうことがあります。
例えば、私の愛犬スムースチワワの「ちーの」ちゃんは、ブリーダーさんのところで十分な社会化を経験せずに育ちました。散歩に出るとビビッてしまい、そそくさと帰ろうとしていました。今でもまだ外が苦手意識はありますね。
次に考えられるのが、過去のネガティブな経験です。散歩中に突然、他の犬に飛びかかられて怖い思いをした、ドッグランでしつこく追いかけ回された、といった経験があると、それが嫌な記憶として残り、他の犬に対して警戒心を持つようになってしまいます。
また、飼い主さんの対応も大きく影響します。愛犬が他の犬に吠えたり怖がったりした時に、飼い主さんが慌てて抱き上げたり、過剰に「大丈夫だよ」と声をかけたりすると、愛犬は「やっぱりあの犬は怖いんだ」「吠えれば飼い主さんが助けてくれる」と学習してしまうことがあります。無意識のうちに、飼い主さんが愛犬の「苦手意識」を強化してしまっているケースも少なくありません。
私たち「犬幸村」が提唱している「犬の心と体の負担をゼロに」という理念にも通じるのですが、ワンコの気持ちを理解し、適切な対応をしてあげることが何よりも重要だと考えています。
愛犬が、他の犬に吠えたり唸ってしまう場合の対処法は?
愛犬が他の犬に吠えたり唸ったりするのを見るのは、飼い主さんにとって本当に辛いですよね。私もかつて、自分の犬が他の犬に吠えまくってしまい、公園で肩身の狭い思いをした経験があります。しかし、諦める必要はありません。適切な対処法で、愛犬の行動を改善することは十分に可能です。
まず、大切なのは安全な距離を保つことです。愛犬が吠え始める「限界の距離」を見つけて、それ以上近づかないようにしましょう。その距離であれば吠えない、または吠える回数が少ない、という場所から練習を始めるのが効果的です。
次に、アイコンタクトと集中力を高める練習をします。他の犬が視界に入る前に、愛犬の意識を飼い主さんに向けさせる練習です。「おやつ」や「好きなおもちゃ」を使って、「座れ」「待て」などの簡単な指示を出し、できたらすぐに褒めてご褒美をあげます。これを繰り返すことで、愛犬は「他の犬がいる時でも、飼い主さんの言うことを聞けば良いことがある」と学習していきます。
そして、褒めるタイミングとご褒美の質も重要です。吠えたり唸ったりするのを我慢できた瞬間、あるいは他の犬に意識が向かず、飼い主さんに集中できた瞬間に、最高のご褒美をあげましょう。この時、普段のおやつよりも、もっと特別感のある、愛犬が一番喜ぶものを用意してください。
私が「犬幸村」で多くの飼い主さんにお伝えしているのは、「吠えさせない環境作り」です。吠え癖がついてしまうと、それを直すのは時間がかかります。まずは、吠えるきっかけとなる状況を極力避けること。そして、少しずつ段階を踏んで、他の犬に慣れさせていくことが大切だと考えています。
愛犬が、他の犬から逃げ回ってしまう場合の対処法は?
他の犬を見ると逃げ回ったり、震えて固まってしまう愛犬を見ていると、飼い主さんも胸が締め付けられる思いがしますよね。
このような場合、まず大切なのは愛犬に安心感を与えることです。無理に他の犬に近づけたり、無理やり触らせたりするのは絶対にやめてください。愛犬の恐怖心をさらに強くしてしまうだけです。
具体的な対処法としては、ポジティブな関連付けを行うことが効果的です。愛犬が「他の犬=怖いもの」と認識している状態を変えてあげる必要があります。まず、安全な距離から他の犬を見るだけの状況を作りましょう。その際、愛犬が落ち着いていられたら、すぐに「おやつ」をあげたり、「よしよし」と優しく褒めてあげたりします。これを繰り返すことで、愛犬は「他の犬がいても、飼い主さんがそばにいれば安全だ」「他の犬がいると良いことがある」と学習していきます。
この時、距離と時間を少しずつ調整するのがポイントです。最初は遠くから、ごく短時間だけ見せることから始め、愛犬が慣れてきたら、少しずつ距離を縮めたり、時間も長くしたりしていきます。決して焦らず、愛犬のペースに合わせて進めることが重要です。
また、飼い主さんの落ち着いた態度も非常に大切です。飼い主さんが不安な表情をしたり、あたふたしたりすると、愛犬はその感情を読み取り、さらに不安になってしまいます。常に冷静で、自信を持った態度で愛犬に接してあげてください。私がトリマーとして、そしてセミナー講師として多くの飼い主さんに伝えてきたのは、ワンコは飼い主さんの鏡だということです。飼い主さんの心の状態が、愛犬の行動にそのまま表れる、ということを忘れないでほしいと思います。
愛犬を、犬嫌いにさせない方法とは?
愛犬が他の犬を苦手としないように育てるには、子犬期の社会化が最も重要です。これは、私が長年「ワンニャン幼稚園🄬」で実践し、その効果を肌で感じてきたことです。
子犬の社会化期は、生後3週齢から12週齢くらいまでが特に重要だと言われています。この時期に、他の子犬や成犬と安全に触れ合う機会をたくさん作ってあげましょう。犬の幼稚園や子犬のしつけ教室に参加したり、ワクチン接種が終わったら、予防接種済みの他のワンコと安全な場所で遊ばせるのも良いでしょう。
ただし、どんな犬とでも無条件に触れ合わせれば良いというわけではありません。相手の犬が友好的であるか、適切な接し方ができるかを飼い主さんがしっかり見極める必要があります。もし、相手の犬に乱暴にされて怖い思いをしてしまうと、それがトラウマになって、かえって犬嫌いになってしまう可能性もあります。
私たちが「犬幸村」で提供している子犬の幼稚園では、経験豊富なスタッフが子犬たちの様子を注意深く見守り、それぞれの性格や発達段階に合わせて、適切な犬同士の交流を促しています。また、様々な音や匂い、知らない人に触られる経験など、多岐にわたる刺激に慣れさせることも大切です。
そして、子犬の頃から褒めて伸ばすことを意識してください。他の犬とすれ違っても吠えなかったり、落ち着いていられたりしたら、すぐに「良い子だね!」と褒めて、ご褒美をあげましょう。ポジティブな経験を積み重ねることで、愛犬は「他の犬がいると楽しいことや良いことがある」と認識し、犬好きの子に育ってくれるでしょう。
愛犬の犬嫌いを克服させる具体的な方法とは?
すでに犬嫌いになってしまっている愛犬を克服させるのは、時間と根気がいります。しかし、決して不可能ではありません。私もこれまで多くの「犬嫌い」のワンコたちと向き合い、その変化を目の当たりにしてきました。
具体的な方法として、以下のステップを試してみてください。
- 脱感作(だつかんさ):愛犬が恐怖を感じる刺激(他の犬)に、少しずつ慣れさせていく方法です。
- まずは、愛犬が反応しない最も遠い距離から他の犬を視認させる練習をします。
- その距離で愛犬が落ち着いていられたら、褒めてご褒美をあげます。
- 少しずつ距離を縮めていき、愛犬がリラックスして見られる距離を広げていきます。
- 決して無理はせず、愛犬が不安そうにしたらすぐに距離を戻してください。
- カウンターコンディショニング(逆条件付け):苦手なもの(他の犬)と、好きなもの(おやつや遊び)を結びつける方法です。
- 脱感作の練習中に、愛犬が他の犬の存在に気づき、まだ落ち着いている段階で、すぐにお気に入りのおやつをあげたり、大好きなおもちゃで遊んであげたりします。
- これにより、愛犬は「他の犬が現れると、良いことが起こる」と学習し、他の犬に対する感情がポジティブに変化していきます。
- 環境設定の工夫:
- 散歩中に他の犬と出会いそうな場所や時間を避け、比較的犬が少ない時間帯やコースを選ぶようにしましょう。
- ドッグランやドッグカフェなど、犬がたくさんいる場所へは、愛犬が克服するまでは無理に行かない方が賢明です。
- プロの力を借りる:
- もし、ご自身での解決が難しいと感じたら、迷わず専門家に相談してください。ドッグトレーナーや行動療法に詳しい獣医さんなど、経験豊富なプロの指導を受けることで、より効果的かつ安全に克服を進めることができます。
- 「犬幸村」でも、個々のワンコの性格や状況に合わせたパーソナルなトレーニングプランをご提案しています。私自身、長年の経験から「ワンコの心に寄り添うこと」が最も大切だと考えています。
「以前、他のトレーナーさんにお願いしたけどダメだったんです…」と諦めかけていた飼い主さんが、私たちの指導で愛犬が他の犬と穏やかに過ごせるようになった時、「先生、信じられない!」と満面の笑みで報告してくださったことがあります。その時の喜びは、何物にも代えがたいものです。
人が苦手な犬の特長とは?
愛犬が他の人を苦手としている場合、犬が苦手な場合と同様に、いくつかの特徴が見られます。ご自身の愛犬に当てはまるものがないか、確認してみてください。
代表的なのは、知らない人を見ると吠えたり唸ったりする行動です。特に、玄関のチャイムが鳴ると激しく吠える、来客があると隠れて出てこない、中には唸って威嚇する子もいます。これは「近づかないで」「ここは私のテリトリーだ」というメッセージです。
次に、逃げ回ったり、隠れたりするケースです。散歩中に知らない人が近づいてくると、リードを引っ張って飼い主さんの後ろに隠れようとしたり、目を合わせないように下を向いたりします。これも「怖い、関わりたくない」という恐怖心の表れです。
他にも、震える、よだれを垂らす、パンティング(ハァハァと息をする)、あくびを連発する、口元を舐めるといったカーミングシグナルを見せることもあります。これらは全て、愛犬がストレスや不安を感じているサインです。
私が「犬幸村」で長年、トリマーとして多くのワンコと触れ合ってきましたが、人に対して非常に警戒心が強く、トリミング中に唸ったり噛もうとしたりする子もいました。そういう子たちは、一見すると「わがままな犬」に見えるかもしれませんが、実は「怖い」という気持ちの裏返しであることがほとんどです。飼い主さんが愛犬の心の声に気づいてあげることが、改善への第一歩となります。
人が苦手な犬、そうなってしまう理由とは?
愛犬が人を苦手にしてしまう理由は、犬が犬を苦手とする場合と似ていますが、少し異なる点もあります。
やはり大きな理由の一つは、子犬期の社会化不足です。社会化期に様々なタイプの人(男性、女性、子供、高齢者など)と良い経験をすることができなかった場合、大人になってから知らない人を警戒するようになることがあります。 例えば、私が「ワンニャン幼稚園🄬」で多くのパピーを見てきた経験から言えることですが、この時期に様々な年齢層の人間と触れ合い、優しい声で話しかけられたり、優しく撫でられたりする経験が不足すると、大人になって「人は怖い存在かもしれない」という認識を持ってしまうことがあります。
次に、過去のネガティブな経験も考えられます。例えば、子供の頃に悪意なく、でもしつこく追いかけ回されたり、大きな声で驚かされたり、乱暴に扱われたりした経験があると、それがトラウマとなり、人間不信になってしまうことがあります。
また、飼い主さんの不安や過保護な態度も影響を与えます。愛犬が知らない人に警戒している時に、飼い主さんが「大丈夫だよ、この人は怖くないよ」と過剰に愛犬を抱きしめたり、声をかけ続けたりすると、愛犬は「やっぱりこの人は警戒すべき存在なんだ」と学習してしまうことがあります。飼い主さんの不安な気持ちが、愛犬に伝わってしまうのです。
犬は非常に賢く、飼い主さんの感情を敏感に察知します。だからこそ、飼い主さんが愛犬を信頼し、落ち着いた態度で接することが何よりも大切だと私は常々感じています。
愛犬が、家族以外に吠えたり唸ってしまう場合の対処法は?
愛犬が来客や散歩中の知らない人に吠えたり唸ったりするのは、飼い主さんにとってストレスですよね。私も、友人宅に遊びに行った際、そこのワンちゃんに玄関から吠えられ続け、どうしたものかと困った経験があります。
このような場合も、安全な距離を保つことから始めましょう。来客がある場合は、愛犬を別の部屋に連れて行ったり、クレートに入れたりして、まずは物理的に距離を置くことからスタートします。そして、愛犬が吠えない、あるいは落ち着いていられる距離から、少しずつ人に慣れさせていく練習をします。
次に、ポジティブな関連付けです。 例えば、来客がある場合は、玄関チャイムが鳴る前に、愛犬に好きなおもちゃを与えたり、コングに詰めたおやつをあげたりして、楽しいこととチャイムの音を結びつける練習をします。 また、お客様が来た際には、お客様に愛犬の好きなおやつを少量渡してもらい、愛犬が落ち着いていられた時に与えてもらうのも効果的です。これにより、愛犬は「知らない人が来ると、良いことがある」と学習していきます。
大切なのは、無理強いはしないことです。愛犬が怖がっているのに無理に触らせたり、抱っこさせたりするのは絶対にやめてください。かえって、人に対する恐怖心を強くしてしまいます。
私たちが「犬幸村」で提供するトレーニングでも、まずは愛犬が安心できる環境作りから始めます。そして、段階的に刺激に慣れさせていくことで、多くのワンコが家族以外の人にも穏やかに接することができるようになっています。焦らず、愛犬のペースに合わせて進めてあげてください。
愛犬が、家族以外の人から逃げ回ってしまう場合の対処法は?
知らない人を見ると逃げ回ったり、隠れたりしてしまう愛犬。これは「怖い」という感情の表れです。無理やり人と触れ合わせようとすると、さらに恐怖心を深めてしまう可能性があります。
このような場合、最も大切なのは愛犬の安全基地を作ってあげることです。愛犬が安心して身を隠せるクレートやケージ、あるいは部屋の隅などを用意してあげましょう。来客があった際には、そこに自由に逃げ込めるようにしておきます。
そして、積極的なアイコンタクトやスキンシップを控えることから始めます。愛犬が自ら近づいてくるまで、無理に撫でたり、声をかけたりしないようにしましょう。愛犬が近づいてきたら、優しく声をかけ、ゆっくりと手を差し伸べて、匂いを嗅がせてあげることから始めます。
ポジティブな関連付けも非常に効果的です。来客があった際、お客様に愛犬の好きなおやつを、愛犬から見て少し離れた場所に置いてもらうようにします。愛犬が自ら近づいてきて、おやつを食べることができたら、それを繰り返します。この時、お客様は目を合わせたり、声をかけたりせず、ただおやつを置くだけに徹してください。愛犬は「この人がいると、おいしいものが出てくる」と学習し、人への警戒心が徐々に薄れていくでしょう。
また、散歩中に知らない人とすれ違う際に、愛犬が落ち着いていられたら、すぐに褒めてご褒美をあげましょう。これを繰り返すことで、愛犬は「知らない人がいても大丈夫だ」と認識するようになります。
私が長年、多くの飼い主さんに伝えてきたのは、愛犬のペースを尊重することです。一歩一歩、焦らずゆっくりと進めることで、愛犬は必ず変わってくれます。信じてあげることが、何よりも愛犬の力になります。
愛犬を、人嫌いにさせない方法とは?
愛犬が人を苦手としないように育てるには、やはり子犬期の社会化が非常に重要です。この時期に、様々な経験をポジティブなものとして体験させてあげることが、その後の犬生に大きな影響を与えます。
子犬の社会化期は、生後3週齢から12週齢くらいまでと言われています。この時期に、様々なタイプの人と触れ合う機会をたくさん作ってあげましょう。具体的には、
- 男性、女性、子供、高齢者など、様々な年齢や性別の友人に協力してもらい、愛犬に優しく声をかけたり、優しく撫でてもらったりする。
- 知らない人がいる場所(公園など)に連れて行き、安全な距離から人に慣れさせる。
- 車や自転車、ベビーカーなど、様々な乗り物や物を見せて、それらにも慣れさせる。
- 「犬幸村」のような子犬の幼稚園やパピークラスに参加させることで、プロの指導のもと、安全かつ効果的に社会化を進めることができます。
大切なのは、これらの経験が愛犬にとって**「楽しい」「安心できる」**ものであることです。決して無理強いはせず、愛犬が嫌がったらすぐに中断し、少しずつ慣らしていくようにしましょう。
また、子犬の頃から褒めて伸ばすことを意識してください。知らない人に吠えなかったり、穏やかに接することができたら、すぐに「良い子だね!」と褒めて、ご褒美をあげましょう。ポジティブな経験を積み重ねることで、愛犬は「人は怖くない、むしろ良いことが起こる」と認識し、誰からも愛される社交的な子に育ってくれるでしょう。
私自身、DOG&CAT JOKER時代に「ワンニャン幼稚園🄬」を設立し、業界で初めて子犬の社会化に力を入れてきました。その経験から、子犬期の社会化がいかに大切であるか、身をもって実感しています。
愛犬の人嫌いを克服させる具体的な方法とは?
愛犬がすでに人嫌いになってしまっている場合でも、諦める必要はありません。適切な方法で、根気強く向き合えば、きっと愛犬の心を解きほぐすことができます。
具体的な方法としては、犬が犬を苦手とする場合の克服法と同様に、脱感作とカウンターコンディショニング(逆条件付け)が非常に有効です。
- 脱感作(だつかんさ):愛犬が恐怖を感じる対象(人)に、少しずつ慣れさせていく方法です。
- まずは、愛犬が反応しない最も遠い距離から知らない人を視認させる練習をします。
- その距離で愛犬が落ち着いていられたら、褒めてご褒美をあげます。
- 少しずつ距離を縮めていき、愛犬がリラックスして見られる距離を広げていきます。
- この時、見知らぬ人には、愛犬の存在を無視してもらうか、優しく声をかける程度に留めてもらいましょう。直接目を合わせたり、急に近づいたりするのは避けてください。
- カウンターコンディショニング(逆条件付け):苦手なもの(人)と、好きなもの(おやつや遊び)を結びつける方法です。
- 脱感作の練習中に、愛犬が人の存在に気づき、まだ落ち着いている段階で、すぐにお気に入りのおやつをあげたり、大好きなおもちゃで遊んであげたりします。
- これにより、愛犬は「人が現れると、良いことが起こる」と学習し、人に対する感情がポジティブに変化していきます。
- 来客時の工夫:
- 来客がある場合は、愛犬をケージやサークル、あるいは別の部屋に入れて、落ち着けるスペースを確保してあげましょう。
- お客様が来た際は、お客様に愛犬の好きなおやつを投げてもらい、愛犬が自ら取りに行く練習をします。この時、お客様は愛犬を直視せず、あくまで自然な態度で接してもらいましょう。
- プロの力を借りる:
- ご自身での解決が難しいと感じたら、専門家であるドッグトレーナーや行動療法に詳しい獣医さんに相談することをお勧めします。プロの目で愛犬の行動を観察し、適切なアドバイスとトレーニングプランを提案してくれます。
- 「犬幸村」でも、多くの飼い主さんから「人が苦手で困っている」というご相談を受けてきました。個々のワンコの性格やこれまでの経験を詳しくヒアリングし、その子に合った無理のない方法で、克服をサポートしています。
以前、家族以外の人には一切近寄らなかった臆病なトイプードルの子が、私たちのトレーニングを通して、スタッフやお客様にも尻尾を振って甘えてくるようになった時は、本当に感動しました。飼い主さんも「まさかこんな日が来るなんて!」と、とても喜んでくださいました。
まとめ┃犬が苦手な犬、人が苦手な犬は、克服させてあげることはできる?
「うちの子はもう歳だから…」「今さら直るわけないわ…」
そう思っていませんか?いいえ、そんなことはありません!
私はこれまで約40年、犬と向き合い、多くのワンコと飼い主さんの人生に関わってきました。その中で確信しているのは、犬は何歳からでも変われるということです。そして、犬が苦手な犬も、人が苦手な犬も、克服させてあげることは十分に可能だということです。
もちろん、子犬期の社会化が十分にできていれば、そうした問題行動は起こりにくいでしょう。しかし、もし今、あなたの愛犬が他の犬や人を苦手としているとしても、決して諦める必要はありません。
大切なのは、愛犬の「怖い」「不安」という気持ちを理解してあげることです。そして、飼い主さんが愛犬の「安心できる場所」となり、一歩一歩、焦らずに克服への道を歩んであげることです。
今回のブログでご紹介したように、安全な距離を保ちながら、ポジティブな関連付けをしていく「脱感作」と「カウンターコンディショニング(逆条件付け)」は、非常に効果的な方法です。そして、何よりも飼い主さんの愛情と根気が、愛犬を変える最大の力となります。
もし、ご自身での解決が難しいと感じたら、ぜひ私たち「犬幸村」にご相談ください。私自身、長年の経験と知識を活かし、あなたの愛犬が「犬も人も大好き!」と言えるような、幸せな犬生を送れるよう、全力でサポートさせていただきます。
愛犬の健康と幸せを第一に考える心優しいあなただからこそ、きっと愛犬の最高の理解者になれるはずです。
ぜひ一度、私たちに会いに来てください。愛犬の未来を、一緒に明るくしていきましょう!