子犬の甘噛みについて ~犬の習性に則った効果的なしつけ方法~

弊社は新潟県の三条市と長岡市で犬の幼稚園を経営しております。飼い主さんにご相談をいただく約6割のお悩みが「噛まれる」です。またそのほとんどが子犬時期の甘噛みです。犬が噛む行動にはざっくり「本気噛み」と「甘噛み」があり、それぞれ理由が異なります。甘噛みは本気噛みとはまったく違い、大好きな人と遊びたい純真な子ども心であり、この時期しかしてくれない可愛らしい行動なんです。ですので止めさせるなんてもったいないこと言わず、この後のコラムを読んで頂き少し考えてみませんか?私のお伝えすることは多くの甘噛みのしつけ情報とは異なるかもしれませんが、私の40年以上になる犬たちと関わってきた経験より、犬の習性に則った効果的な方法を提案いたします。

目次
そもそも、子犬が噛む理由とは?

子犬が噛んでしまう4つの原因と対策
よく言われる子犬の噛み癖をしつける方法と、その問題点とは?
自然界では、子犬はどうやって噛む強さを学んでいるのか?

犬同士の遊びを参考に、甘噛みしてくる子犬と楽しく遊びながら、噛み加減をしつけられるお勧めの方法

そもそも、子犬が噛む理由とは?

子犬が「噛む」理由は、さまざまありますが、多くは、好奇心や遊び、そして大好きな人とのスキンシップを楽しみたいという「甘噛み」にあります。
この行動は、生後2か月から6か月頃に特に集中して見られます。この時期の子犬は、細くて尖った乳歯が生え揃い、歯のむず痒さと旺盛な好奇心が相まって、何でも噛んでしまうものです。そんなエネルギッシュな子犬と暮らす飼い主さんにとって、手や足を集中して噛まれるのは避けられない日常かもしれません。

子犬が噛んでしまう3つの原因と対策

①原因が持て余す体力と遊びの一環として噛む場合の対策
1.十分な運動など、体力発散の機会を与える
体力を持て余してしまっていることが原因ですので、散歩や外遊びをこまめに取り入れます。子犬の体力に合わせた散歩を毎日行い、外の刺激や匂いを体験させましょう。家の中でも、追いかけっこやボール投げなど、体を使った遊びを積極的に取り入れます。
2.他の犬との交流(社会化)させる
ドッグランや犬の幼稚園など、子犬同士で遊ぶ機会を作り、遊びの中で噛む力加減を学ばせる方法も有効です。社会化が進むにつれ、いろいろな刺激に慣れ、遊び方も上手になっていきます。
※ドッグラン等でじゃれ合いをさせる場合は、事前に相手の飼い主に確認を行い、よく観察しておく必要があります。
3.飼主が遊びの中で噛む力加減を教える
自然界で子犬が噛む力加減を覚えるのは、犬同士の遊びを通してです。そこでおすすめなのは、飼い主が犬に代わり噛み合い遊びをしてあげる方法です。発散不足の子犬をたっぷり遊ばせたいのならば、子犬の噛んできた力と同じ加減で噛んで(手でつまむような感じ)あげるのです。また飼主は自分の痛さを軽減するために長袖や軍手などでガードして、毛で覆われた犬のように歯の当たる部分をガードして遊んであげると痛くないし怖くもないでしょう。
しかしあまりにも強く噛んだら叱るのではなく、少し大げさに「痛いっ!」など短い声を出して痛いことを伝え遊びをストップさせます。そのまま遊びを中断することにより、「噛む力が強いと楽しい遊びが終わる」と学習するきっかけになります。

※このように犬同士の遊びを再現する場合は「 あまがみくん」が有効です。
「あまがみくん」を使う場合、飼い主は軍手などを手に付けて噛まれても痛くないよう対策をします。その手にはめることで、子犬が犬同士で遊ぶときのようにじゃれ合いながら噛み合う感覚を伝えられます。「飼主(犬役)とじゃれ合う=楽しい」と認識できるよう誘導することで、たっぷり遊んでくれる飼主を好きになり、またエネルギー発散と噛み加減を同時に学ばせることができます。
子犬が「あまがみくん」で遊びながら、噛む力加減を学ぶ動画はコチラから

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4.エネルギッシュな遊びとクールダウンのメリハリをつける(短いセッションを複数回)

子犬は集中力が短いので1回の遊びを長時間やるよりも、短い時間をこまめに挟むほうが疲れやすく、満足感も得られやすいです。遊びセッションの合間には落ち着ける時間を用意し、子犬が興奮をクールダウンできるようにします。
クレートやサークルで数分静かに過ごす訓練を日頃から行い、「遊ぶ時間」と「休む時間」のメリハリをしっかりつけます。
興奮をコントロールできるようになると、噛む行動も徐々に減っていきます。


②歯のむず痒さを解消するための対策
子犬は、乳歯が生えたり抜けたりする時期には、歯茎がむず痒くなり、何かを噛むことでその不快感を和らげようとします。適切な対策を取ることで家具や手足を噛む行動を防ぎつつ、子犬の欲求を満たしてあげることが重要です。以下に具体的な対策をご紹介します。

1.噛むための専用おもちゃを与える
歯のむず痒さを解消するためには、子犬が安全に噛めるおもちゃを用意しましょう。

 おすすめのおもちゃの例:
 ・天然ゴム製の噛むおもちゃ(例:コング(犬用のおもちゃの商品名))
 ・歯茎に優しいぬいぐるみタイプ
 ・冷やせる食べ物やおもちゃ(冷凍庫で冷やして使用)
  *冷たいおもちゃは歯茎のむず痒さを和らげる効果があります。歯のむず痒さには冷たさが効果的です。冷凍したニンジンスティックやリンゴスライスを与える(子犬が食べても安全な食品を選ぶこと)。
  *冷凍したウェットフードを詰めたおもちゃを使う(例:コングに詰めて冷やす)。

2.適切な噛む行動を褒める
子犬が噛んでも良いおもちゃやアイテムを噛んでいるときは、積極的に褒めてあげましょう。「いい子だね!」などの声かけや撫でる行動でポジティブなフィードバックを与えます。

3.家具や手足を噛ませない工夫を行う
子犬が家具や手足を噛むのを防ぐために、環境を整えることも重要です。
例えば、犬用の苦味スプレーなどを活用するという方法があります。犬用の苦味スプレーを:家具やコードに苦味スプレーするとを塗ると、子犬が噛むのを避けるようになります。

4.十分な運動と遊びを取り入れる
噛む行動は、エネルギーが余っているときにも見られるため、適度な運動や遊びを取り入れることが効果的です。
具体的には、散歩や追いかけっこ、引っ張り合い遊びなどを日常的に行ったり、知育玩具やトレーニングで頭を使わせ、疲れさせるという方法があります。

よく言われる子犬の噛み癖をしつける方法と、その問題点とは?

一般的に伝えられている甘噛み(飼い主の手や足を噛む行為)への対策としては、「止めさせる」「叱る」「無視する」「体罰を与える」など、甘噛みそのものを止めさせることに重点を置いた方法が多いようです。確かに、これらの方法でしっかり教えれば甘噛みは一時的に収まるかもしれません。しかし、そのエネルギーは別の形で発散されることが多く、例えば家具を噛むなどの破壊行動や、過剰な吠え、走り回りといった問題行動につながる可能性があります。
さらに大きな問題点として、飼い主の叱り方が強すぎる場合、子犬が反発したり怯えたりしてしまい、甘噛みが本気噛みに発展することがあります。このような状況では、飼い主と子犬の信頼関係が損なわれる恐れがあり、しつけそのものが難しくなる原因となります。

自然界では、子犬はどうやって噛む強さを学んでいるのか?

当園で犬たちの様子を観察していると、人間が甘噛みのしつけとして行う「止めさせる」やり方はほとんど見られません。その代わり、犬同士が気の合う仲間と遊びながら、歯を当て合い、上になったり下になったりしてじゃれ合う姿が見られます。そして、時折「キャンッ!」と悲鳴をあげることがあります。その瞬間、攻めていた側の犬も動きを止めます。このように、痛みを感じた犬がそれをしっかりと相手に伝えることで、互いに噛む強さの加減を学び合っているようです。

犬同士の遊びを参考に、甘噛みしてくる子犬と楽しく遊びながら、噛み加減をしつけられるお勧めの方法

当園に通う子犬たちは、犬同士の遊びを通じて噛む力加減を学び、遊びの駆け引きなどで体だけでなく頭も使いながら、十分にエネルギーを発散させています。その結果、飼い主の皆さんは、家に帰った後の子犬がまったりと落ち着いてる様子にとても癒されるとおっしゃいます。
しかし、幼稚園に通えない場合でも、犬同士の遊びを再現しながら噛む加減をしつける方法があります。それが、飼い主の手を使って楽しく遊べる「あまがみくん」です。このツールを使えば、子犬と一緒に遊びながらエネルギーを発散させることができます。遊び方については、以下の動画をご覧ください。

犬同士の遊びを参考にして「あまがみくん」で遊んであげましょう!

「あまがみくん」が番組で取り上げて頂きました。


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※【ご注意!!】「あまがみくん」は子犬の甘噛みを止めさせる道具ではありません。むしろちょっと面倒くさい道具かもしれません。だけど少し考えてみてほしいのです。甘噛みは遊びたい子犬盛りの時期しかやらないんですよ。それを止めさせるなんて僕はもったいないと思っています。皆さんはお仕事でお疲れなのかもしれませんが、子犬は家でずっとあなたの帰りを楽しみに待っています。そんな子犬のためにも、1日5分でも良いのでたっぷり遊んであげ、そして楽しい思い出作りをしてもらいたい…そんな願いで「あまがみくん」を作りました。犬は10年から15年の短い犬生で、多くの場合飼主より先に旅立ちます。旅立つその時に、飼主に遊んでもらった楽しい思い出はきっと残っているでしょう。悔いのない犬との楽しい暮らしを応援します。  犬幸村 中島

中島秀輔
ワンズアップ株式会社 代表取締役
犬の幼稚園&トリミング「犬幸村」 代表 中島秀輔

犬の幼稚園「犬幸村」園長 中島秀輔 1986年から約26年間、ペット関連の事業を行う。



横浜そごう、玉川高島屋、グランベリーモール、六本木ヒルズなど、首都圏の百貨店等に店舗を出店しているDOG&CAT JOKERにおいてトリマー兼店長兼店舗統括部長として店舗運営に携わる。



2000年に「ワンニャン幼稚園🄬」設立。業界初の子犬子猫にしつけを教えて販売するスタイルを発案し、JOKER各店にて子犬子猫生体販売の常識を変革する。



トリマーとして各種競技会に挑戦し、SUPER ZOO inラスベガス スーパーモデルドッグ部門3位入賞、JKCトリミング競技会東京ブロック Aクラス最優秀賞受賞。その後全国トリミング・家庭犬訓練競技会 デザインカットコンテスト、ジャペルペットコレクショントリミングコンテストにおいて審査員を務める。

ハンドラーとしてJKCハンドリング競技会全国大会Aクラス最優秀賞受賞。



これらの経験・知識を活かし独立。その後大小200を超えるセミナーも開催し、延べ3,000人以上のトリマーへの指導経験も持つ。



現在は、新潟の燕三条で犬の幼稚園&トリミング犬幸村(けんこうむら)をオープンさせ、延べ1000頭以上のワンちゃんや猫ちゃんへ、飼い主様へ「心の平安」を提供している。

保有資格: ・JKCハンドラーA級ライセンス ・JKCトリマーA級ライセンス ・愛玩動物飼養管理士1級

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